A04. 2つの不安の出方
- Professor M
- 1月7日
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更新日:1月26日

パフォーマンスに影響を与える不安ですが、不安の現れ方には2つのパターンがあります。
一つは、短絡回路といいます。例えば、駅のプラットホームにたっているときに突然後ろから肩を叩かれると「あっ」と驚いて一瞬固まります(フリージング)。そして、その後に何が起きたのかと闘争か逃走の準備状態(A02)である動悸などの交感神経が活発になってくるというものです。
もう一つは、意識回路といいます。例えば、夜中に一人で街灯のない道を歩いていると、これから誰かに襲われるのではないか、とだんだん心配になってきて、どきどきしてきて、闘争か逃走の準備状態である動悸などの交感神経が活発になってくるというものです。ひどくなると小さなフリージングのように動きがぎこちなくなります。アスリートが試合の前日からだんだん不安になってきて、パフォーマンスをする前にピークを迎えるというのがそれに当たります。さらにパフォーマンス中に緊張して体の動きが悪くなるのはこの回路が働いていると考えられます。

江戸末期に剣豪として活躍し、多くの門人を抱えた千葉周作は、剣法で勝つためにやってはいけないこととして、驚く、懼(恐)れる、疑う、惑う(迷う)の4つをあげ、腕力だけでなく、その4つをなくすために精神を養うべきとしています(大保木 輝雄. 第7回 江戸時代後期の武芸気論―2. 全日本剣道連盟)。この4つはいずれもストレスに出会ったときの基本的な心理的反応であり、不安の原始反応です。生死をかけた真剣勝負はまさに不安との闘いと考えられます。