A07. 自動思考、敵か味方か?
- Professor M
- 1月8日
- 読了時間: 2分
更新日:1月20日

パフォーマンスの直前や最中に、「失敗する」「まずい」というようなネガティブな考えやイメージが勝手に浮かんでくることがあります。これを自動思考といいます。そして予想外の、また考えたくない内容だったりすると、短絡回路の不安反応として、驚いてしまって一瞬フリージングを起こします。またはそれをきっかけに意識回路が働きだして、迷いや不安、落ち込み、恐怖心が生まれます。いずれにしても、自動思考がストレッサーとなって大きくパフォーマンスのレベルは低下してしまいます。
そのネガティブな体験はトラウマとなり、それ以降、パフォーマンスの前に不安が高まり、自動思考も浮かびやすくなります。さらにイップスに移行してしまう人もいます。
このような考えが浮かぶのは「自信がないからだ」とか「精神的に弱いからだ」と思い、何とか精神的に強くなろう、克服しようと、より激しい練習に取り組むとか、座禅や滝に打たれるなどの精神修養に取り組む人もいます。しかし、そのような努力にもかかわらず、大事な場面でまた出現してくるので、「やはり自分はメンタルが弱いんだ」「自分はアスリートには向いていない」と競技を去る人も多いと思われます。
この勝手に浮かんできて、心と体、そして行動をかき乱す自動思考は敵なのでしょうか、味方なのでしょうか?私の考えと対処法についてはいつか説明できればと思っています。

2024年の大リーグのワールドシリーズは第5戦をドジャース3勝、ヤンキース1勝で迎え、後のないヤンキースは4回を終わって5点リードしていました。
5回表、ドジャースの先頭打者が安打で出塁し、続く選手の打球は普通の、簡単に取れるセンターフライでした。しかし、その日ホームランを打っていたジャッジはこの簡単に取れる打球を落球してしまいました。このエラーをきっかけにヤンキースは逆転され、ドジャースが優勝しました。
この捕球の場面をビデオでよく見てみたところ、ボールがグローブに入る前にジャッジ選手の視線は一塁ランナーに向いてしまっていました。「早く一塁に送球すればダブルプレーを取れる」と自動思考が浮かんで次のプレーに注意が向いてしまい、エラーしてしまったのかもしれません。