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B07. 目標設定(2) SMARTチャレンジ

更新日:1月20日

スポーツで目標を設定するときには、SMART(specific, measurable, achievable, realistic, and time-related)に基づいて設定することが推奨されています(Bird, M.D, et al.2024)。

 Specificは具体的なMeasurableは測定可能なAchievableは到達可能なRealisticは現実的な、そしてTime-relatedは期限付き、ということです。すなわち、目標(ゴール)は、『具体的なことで、測定できて、到達可能で、現実的で、そして期限を付けて設定する』ことが勧められているのです。夢は大きく、目標はSMARTでチャレンジングに設定することが重要です。

 SMARTについてひとつずつ説明していきたいと思います。

 Specific(具体的)なこととは、頑張るとか努力するなどという抽象的なことではないとされています。例えば、日本代表になりたいと思えば、そのために必要な記録を目標にすることになります。そして、その記録がパフォーマンス目標であればそれを達成すためのプロセス目標が日々行うことになります。

 そのプロセス目標は記録達成に必要な体力や技術、メンタル面での課題を明確化して、日々チャレンジしていくことになるでしょう。メンタル面ではビジュアライゼーションマインドフルネス受け止め方を変える練習などが対象になるかもしれません。

 Measurable(測定可能)で数値化できることであれば、達成できたかどうかがはっきりします。例えば、陸上の短距離走で100メートル何秒とか、毎日100本3ポイントシュートを打つなどという数値化した目標です。しばらくチャレンジしてできているかどうかはっきりするので、その結果をみて、より適切なものに修正することが可能です。

 Achievable(到達可能)な目標にするためには、現在の状態を把握する必要があります。そして、現在の状態から考えて、チャレンジすれば、頑張れば到達できそうだという目標にすることが重要になります。

 Realistic(現実的)な目標。どんなに到達可能な具体的な目標であっても、実践可能なものでなければなりません。トレーニングの場所が遠すぎるとか、トレーニングを行うには莫大な費用がかかるとか、またはそもそもその目標はもっと長期の目標達成を考えたときに有効なものなのかということになります。

 この目標はいつまでに達成するのかというTime-related(期限)を設ける必要があります。あまりにも先に設定してしまうと達成までに時間がかかりすぎて、日々のトレーニングに対する達成感や達成したことから得られる自己効力感も得ることができません。一方で長期的な目標もないとどこに向かっているのかも見失ってしまいます。

 一般的には長期目標と短期目標、また中期目標と期間を分けて設定します。長期目標の期限は1年から4年(オリンピック開催間隔)で、その長期目標に向けて4から6週間ぐらいの中期目標を立て、その目標に到達するために毎日または1週間ごとの短期目標を立ててクリアしていく、スモールサクセスを繰り返していくことになります。

 2024年パリオリンピック女子柔道48kg級金メダリストの角田夏実選手は、パリオリンピック前に、「初めてのオリンピックで、いつもの試合では感じられないような緊張や不安があります。オリンピックだからこそ感じられるもので、それを楽しめるくらいの準備をしてきたと思っています。応援してくださる皆さんの声を力に、最後は自分を信じて、いいパフォーマンスができるように頑張ってきたいと思います。応援よろしくお願い致します。」(オリンピック【TEAM JAPAN選手団コメント】2024.08.11) と話しています。

 オリンピックという大きなストレス状況で、強い不安緊張が生じますが、目標は「勝つ、金メダル取る」ではなく「楽しみ、頑張っていいパフォーマンスをすること」とプロセス目標の達成を目標にして、それを達成した自信が自分を信じさせることができていたと思います。

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