0401 佐々木投手が監督にボールを渡さなかった理由:感情と注意
- Professor M
- 4月1日
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楽しいとか嬉しい、興奮しているなどというポジティブな感情のときには注意が多方面に向かい、いろいろな考えが浮かび、様々なことにチャレンジしようとし、またパフォーマンスも向上するといわれています。一方で,悲しいとか落ち込む、自信がないなどのネガティブな感情のときには注意の向く範囲が狭くなり、回避したり安全行動をとったりしてチャレンジせず、パフォーマンスも低下します。さらに、不安や落ち込んでいるときには外部への注意力が低下することが報告されています(Ms Robyn Louise Vast, et al. 2010)。
ドジャースの佐々木朗希投手は大リーグ2回目の先発でストライクが入らず、二回途中2失点でKOされてしまいました。「いい投球をしたいだけだった」のが2試合連続で上手くいかず、自分の仕事をやり遂げられませんでした。佐々木投手はマウンドでも不安を抱えながら投球していたと思います。そしてうまくできなかった自分に落胆し、その結果、目に涙が溢れてしまったと思います。ロバート監督は佐々木投手が、降板の時にボールを渡さなかったことやリリーフ投手の投球を見なかったことについて「敬意を欠くものではない」と擁護していました。佐々木投手は不安・落胆という感情でうつ向き、視野が狭くなり、ボールを渡すことやリリーフ投手を見守るという外部の要素に注意が向かなくなってしまっていたと考えられます。
自分の思考過程や感情を認識する能力であるメタ認知能力が高い人はネガティブな感情を制御でき、集中力も高めるといわれています(Lee J-h & Son C, 2023)。次の登板では、自分の思考や感情の変化に気づき、前向きな気持ちで、自信を持ってマウンドに立ち、いい投球ができることを期待します。