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C04. あがってしまう、社交不安症


人前でパフォーマンスするアスリートはあがってしまうこともあります。

 アスリートにとって、パフォーマンスの結果はアスリートとしての価値に大きな影響を与えます。そして時には賞賛だけではなく過剰な批判を浴びることもあります。したがって、アスリートは人前に出てパフォーマンスするときに失敗してはいけない、どう思われるだろうと不安になってもおかしくありません。アスリートは人前に出ることに慣れていると思われがちですが、むしろ人前に出ることへの緊張や他人の評価への敏感さが生じることもあるのです。

 私たちは注目される状況社交場面)で何かをしようとするとき不安を感じます。しかし、社交不安症の人ではこの不安が過剰に強くなります。周囲の人たちが自分のことを、「馬鹿じゃないの」とか「おかしいんじゃないの」などと否定的に評価していると思い込んでしまい、過剰に不安になるのです。人前でスピーチをするなど目立つ行動だけでなく、ただ集団の中で食事をするとか、レジに並ぶなどといったことにも不安恐怖を抱くこともあります。

 このように過剰になる背景として、以前に人前での言動で恥をかいたという体験がもとになっていることもあります。例えば、中学生の頃に教科書を読むように言われ、顔が赤くなった、とか、途中でつかえてしまった、読んでいるときに頭が真っ白になって何をしているかわからなくなった、などの状態となり、自分で、「みんなに『変な人』とか『だめな人だ』などと否定的に思われたのではないかという体験をしたとします。

 すると、それ以降、「自分は、人前で何かをしようとするときに、またうまくできずに恥をかく人なのだ」という思い込みができ、人前で何かをしようとするときに「否定されるだろう」と予測して不安になり、「はやり否定的に思われている」と感じながらパフォーマンスしてしまいます。そして「今回も変な人と思われた、恥をかいた」とその後に考えこみ(反芻)、「自分は、人前で何かをしようとするときに、またうまくできずに恥をかく人なのだ」という思い込みが強化されるという悪循環に陥ります。

特に人前でパフォーマンスするときに限って過剰な不安恐怖を感じてしまう場合をパフォーマンス限局型といいます。


【ワンポイント アドバイス】

あなたが見る側だったら、その人のことをどう思いますか?

他の人もあなたと同じように、特に問題はないと思っているのではないでしょうか?

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